ページタイトル-7.途上国産の嗜好品を控えようコーヒー、紅茶、チョコレート、バナナ、パイナップル、マンゴー、タピオカ……そうしたものが、発展途上国産の嗜好品だ。その貿易で先進国の人間が大儲けする一方で、生産する側の発展途上国の人々はほんの少ししか儲からない。いくら輸出をしても、途上国の人々は貧しくなる一方、というのが現実だ。発展途上国の人々の搾取のうえに成り立つ商品、といっても過言ではない。
不公正な貿易
こうした嗜好品のなかでももっとも貿易量が多いのはコーヒーだ。その世界中で大量に取引されるコーヒーを、わずか4社が牛耳っている。クラフト、ネスレ、P&G、サラ・リー……すべて先進国の会社だ。市場の寡占は、生産者の力を弱めてしまう。買ってくれる会社がたくさんあれば、生産者は「どの会社に売ろうかなー」「もっと高く買ってくれるんじゃなければ売らないよ」と強気に出られるが、買手が少ないと買手を選べなくなるからだ。

cup of cofee
一般的には商品の値段の8割以上が先進国の会社に渡り、生産国に残るお金は10~15%、生産者に渡るお金はわずか5%程度と言われる。しかし具体的な例を見ると、現実はさらに厳しい。
コーヒー豆1kgでコーヒーが80杯できる。スターバックスがコーヒー1杯300円で売ると、2万4千円の売り上げだ。一方、コーヒーの原産地エチオピア南部のキレンソモコニサの生産者が豆1kgを売って手にする額は、わずか12円~24円あまり。コーヒー1杯300円のうち、生産者の手に渡る額は0.15円~0.3円ということだ。本当はその5倍はほしい、と彼らは言う。家電製品を買うどころではない。彼らは貧しさのあまり、子どもを学校にやることすらできないんだ。こうした悲惨な現実は、他にも枚挙にいとまがない。
悲惨な暮らしを強いられる労働者
ガーナを含む西アフリカ4か国ではカカオ農園で数十万人の子どもたちが働いている。でも、彼らが収穫するカカオが、一体どんな商品になるのか、彼らには知る由もない。チョコレートなんて一度も食べたことがないからだ。学校へ行くこともできずにひたすら働いている子どもも多い。

delicious chocolate pralines
スリランカの紅茶農園で働く労働者には200年前の植民地時代に建てられた宿舎にそのまま住んでいる人たちもいる。トイレもない劣悪な環境なのに、わずかな賃金ではそこから抜け出す希望すらない。

フィリピンのパイナップル農場で働く労働者のパイナップル植え付けのノルマは1日になんと1万株。労働条件の改善を求めてストライキを起こせば、農園の労働者全員が解雇される。

pineapple
しかも、フィリピンは他国からの借金がかさんでいて、その利子を払うだけでも精一杯の状況。少しでも外貨を獲得したいので、外国企業の誘致に熱心だ。外国企業がヤシやゴムやパイナップルなどのプランテーション(商品作物を栽培する巨大農園)や工場を建設する土地を確保するために、ミンダナオ島では政府軍が住民を追い出してしまう。自国民を政府軍が空から爆撃したり、毒ガスを使ったりして追い出すという想像を絶するようなことまで行われている。その口実に使われるのが「イスラム過激派組織の掃討」だったりする。silhouette of helicopter

逃避行の中で命を落とす住民ももちろんいる。ボクらが食べるバナナのために、爆撃されて命を落とす人がいるなんて……。ボクはその詳しいドキュメンタリー映画を見たんだが、しばらくは衝撃で椅子から立ち上がれなかったほどだ。
他国の人をそんなに不幸にしてまで、バナナを食べたいとか、誰も思わないよね。
買うならフェアトレードを
こんなひどい不公正を正し、生産国の人々にも適切な対価を払うための取組みが「フェアトレード」だ。もし、どうしてもコーヒーが飲みたい、チョコレートが食べたい、という人は、ぜひフェアトレードの商品を探して選ぶようにしよう。
そしてフェアトレード以外のこうした発展途上国産の嗜好品は、できる限り避けるようにしたい。ほとんどが熱帯産のものなので、「身土不二」にも反するよ。
〇コーヒー風の飲み物はいろいろ
穀物コーヒー、たんぽぽコーヒー、玄米ジンガーなど、コーヒー風の飲み物はいろいろある。ノンカフェインで体にやさしいのもメリット。試してみよう。
〇紅茶は国産を
紅茶は国内でもつくっているところがある。試してみよう。
〇日本のお茶を
緑茶、ほうじ茶、三年番茶、麦茶、はと麦茶、びわの葉茶、どくだみ茶、柿の葉茶、はぶそう茶、碁石茶などなど、日本国内にもおいしいお茶、珍しいお茶、体に良いお茶がいろいろある。好みのお茶を探して楽しんでみよう。
〇チョコレートの代わりにはいなご豆
キャロブ(いなご豆)という豆を炒って粉にしたものは、カカオとそっくりの風味がある。イタリア産のものが多いので、輸入品であるという点では変わりがないが、児童労働などの問題はないし、日本と同じ温帯産だという点でもベターだ。ココア風飲料やチョコレート風味のお菓子に利用してみよう。

チョコレートケーキ

ココアの代わりにキャロブを使い、動物性素材ゼロでもおいしいチョコレートケーキができる

〇熱帯産の果物はNG
バナナやパイナップルなどは体を冷やしすぎるという問題点もある。どうしても食べたい人は、夏だけ、フェアトレード限定で食べるようにしたい。
〇流行りものには飛びつかない
かつて「ナタデココ」が大ブームになったときには、日本の商社がフィリピンなどで大量に原料を買いあさったため、地元の人は借金をしてまで生産を拡大した。ところが日本でのブームは瞬く間に去ってしまったため、地元の人々には巨額の借金だけが残ってしまった。日本のマスコミなどが作り出すこうしたブームは、現地の経済に大混乱を引き起こす。だから流行りものには飛びつかないようにしたい。ブームが去る頃になってから食べれば、需給ギャップの緩和に少しは役立つかもしれないね。

Shakes

タピオカもかつてブームになった食品のひとつ。マスコミのつくる流行に惑わされないようにしよう

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